ミュージックセレクション「秋の入り口に浸るための音楽」
クラクラするような暑さも落ち着き、季節は秋へと向かっています。今年の夏といえば、まさかの天候不順。「夏らしい日が短かった」と嘆いている方も多いでしょう。
「せめて秋の入り口ぐらいは楽しみたい」
そんな気持ちに応えてくれる音楽を、今回は3曲セレクトしました。
乃木坂46・齋藤飛鳥をゲストに迎えた「惑星タントラ」
音楽プロデューサー/DJの大沢伸一によるソロ・プロジェクト、MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)。今年6月にリリースした14年ぶりの新作アルバム『何度でも新しく生まれる』は、上半期の音楽シーンにおける大きなトピックの1つでした。
全曲日本語の「歌もの」作品であることや、ゲストボーカル陣の意外すぎる人選で注目を集めたこのアルバム。収録曲の中でも、乃木坂46のメンバー・齋藤飛鳥をボーカルに起用した「惑星タントラ」は、ひと際サプライズ度の高い1曲だったと言えます。
何より印象的なのは、楽曲の世界観を形作っている彼女のミステリアスかつ無機的な歌声。ミニマルで浮遊感のあるダンスサウンドと見事に調和しており、乃木坂46での活動では見られない、齋藤飛鳥の新たな一面が発揮されています。
楽曲全体からあふれるダウナーな空気感は、季節の変わり目である今の時期にぴったりではないでしょうか。
英国フォークファンは要チェック ルー・ペインズ「Lullaby Love」
端正な顔立ちと渋すぎる歌声。1人ボートを漕ぐこの男性は一体誰?と思った方もいるでしょう。
イギリス出身のシンガーソングライター・Roo Panes(ルー・ペインズ)は、同国の老舗ブランド『バーバリー』のキャンペーンモデルを務めたこともある人物。また、バーバリーが2010年より展開している音楽プロジェクト「*1バーバリー・アコースティック」にも参加しています。
「Lullaby Love」は、2016年リリースのアルバム『Paperweights』の収録曲。ストリングスとアコースティックギターを主体とした上品なサウンドは、まるで映画音楽のような美しさ。ルー・ペインズのジェントルで深みのある歌声も、初秋の涼しげな空気とマッチします。
日本での知名度は決して高いとは言えないルー・ペインズですが、ニック・ドレイクやローラ・マーリングなど、イギリスのフォークミュージックが好きな方にはたまらないアーティストだと思います。
80’sフレーバーたっぷりの大ヒット曲「Ocean Drive」
80年代風の煌びやかなサウンドを惜しげもなく披露したデューク・デュモンの「Ocean Drive」。この曲は、2015年にリリースされたEP『Blase Boys Club Part 1』のリードシングルとして大ヒットしました。
イギリス出身のデューク・デュモンは、ハウス・ミュージック・シーンでキャリアを積み重ねてきたDJ/音楽プロデューサー。現在はメジャーシーンの仕事にも携わっており、今年リリースされたケイティ・ペリーの「Swish Swish」は彼のプロデュースによるものです。
ハイ・コントラストの楽曲にもフィーチャーされている気鋭のシンガー、ボーイ・マシューズの甘い歌声も心地よい「Ocean Drive」。夏の余韻がかすかに残るこの時期に、本曲のノスタルジックな雰囲気はよく合うはず。ドライブ・ミュージックとしても試したくなる1曲です。